2012年11月5日月曜日

11月5日


◎今日のテキスト

「おい地獄さ行《え》ぐんだで!」
 二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛《かたつむり》が背のびをしたように延びて、海を抱《かか》え込んでいる函館《はこだて》の街を見ていた。――漁夫は指元まで吸いつくした煙草《たばこ》を唾《つば》と一緒に捨てた。巻煙草はおどけたように、色々にひっくりかえって、高い船腹《サイド》をすれずれに落ちて行った。彼は身体《からだ》一杯酒臭かった。
 ――小林多喜二『蟹工船』より

◎人になにかを頼むとき

 だれかになにかを頼むとき——たとえば自分が手の離せない状態にいて、かわりにだれかに必要ななにかを買ってきてもらう必要があるとき、あなたはどのようにいうだろうか。
「申し訳ないけど、○○を買ってきてくれない? 忙しいのにごめんね」
 とかなんとか。
 とてもへりくだるのは日本人の美点でもあり、また欠点でもある。時と場合にもよるが、必要以上にへりくだることはない。
 なにかを相手に頼むとき、相手にしてみればあなたに対して「貢献するニーズ」を満たすチャンスかもしれない。「あなたの、私に対する貢献のニーズを満たすチャンスをあげる」という態度でなにかを頼むことができれば、とても気が楽になるかもしれないし、それは相手にとっても気楽さを確保するかもしれない。

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