2012年11月14日水曜日

11月14日


◎今日のテキスト

 帯と湯道具を片手に、細紐だけの姿で大鏡に向い、櫛《くし》をつかっていると、おきよが、ちょっと、しげちゃん、あとで話があるんだけど、と云った、――あらたまった調子も妙だが、それよりは、平常は当のおしげをはじめ雇人だけではなく、実の妹のおとしや兄の女房のおつねにまでも、笑い顔一つ見せずつんとしてすまし込んでいるのに、そう云いながら、いかにも親しそうな眼つきでのぞき込んだのが不思議であった。
「なにさ」――生れつき言葉づかいが悪くて客商売の店には向かぬとよくたしなめられるのだが、この時も相手が主人すじの女にもかかわらず、おしげはぶっきら棒に云った。
 ――武田麟太郎「一の酉」より

◎音楽療法と音読療法(二)

 共通点でとくに気づいたのは、「歌詞朗読」の部分だ。音楽療法では唱歌や流行歌の歌詞を提示して、それを歌うのではなく音読する、ということをおこなう。それは音読療法でも似たような方法でおこなう。
 しっかりとした発音・発声をこころがけることで、呼吸筋をととのえたり、舌や表情筋など発声のための筋肉を整えることで、加齢によるおとろえを支えるという効果がある。とくに舌まわりの筋肉は重要で、加齢によっておとろえる嚥下能力を鍛えなおすことで、食事の能力の衰えを食いとめたり、肺炎になりにくくする効果が期待できる。
 そのなかでも、音読療法ではとくに呼吸法をしっかりやる点が、音楽療法とは少し異なっている。

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