2012年11月4日日曜日

11月4日


◎今日のテキスト

「アナタア、ザンパン、頂だい。」
 子供達は青い眼を持っていた。そして、毛のすり切れてしまった破れ外套《がいとう》にくるまって、頭を襟の中に埋《うず》めるようにすくんでいた。娘もいた。少年もいた。靴が破れていた。そこへ、針のような雪がはみこんでいる。
 松木は、防寒靴をはき、ズボンのポケットに両手を突きこんで、炊事場の入口に立っていた。
 風に吹きつけられた雪が、窓硝子《まどガラス》を押し破りそうに積りかかっていた。谷間の泉から湧き出る水は、その周囲に凍《い》てついて、氷の岩が出来ていた。それが、丁度、地下から突き出て来るように、一昨日よりは昨日、昨日よりは今日の方がより高くもれ上って来た。彼は、やはり西伯利亜《シベリア》だと思った。氷が次第に地上にもれ上って来ることなどは、内地では見られない現象だ。
 ――黒島伝治『渦巻ける烏の群』より

◎1級ボイスセラピスト講座

 今日は1級ボイスセラピスト講座の第4期の後半が開催される。
「後半」というのは、もちろん「前半」があるからだが、それぞれ午前10時から午後5時までほぼ丸一日をついやして勉強する。
 1級の場合、老人ホームや学校、地域コミュニティ、職場などでのグループ音読ワークができるようになるスキルを身につけてもらうのだが、丸二日間をついやしてもなかなかすぐにはひとりでそういった音読ワークができるようにはならない。だから、よりスキルアップしてもらうことと経験をつんでもらうために、繰り返し講座を再受講してもらったり(すべて無償)、先輩たちの音読ワークに手伝いとして積極的に参加してもらうようにしている。

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