2012年11月13日火曜日

11月13日


◎今日のテキスト

 弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなくて、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。実際、それは彼の話の中には決して出て来ないものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。
 ――スティーヴンスン『ジーキル博士とハイド氏の怪事件』(訳・佐々木直次郎)より

◎音楽療法と音読療法(一)

 介護予防アーティスト講座で音楽療法の先生とご一緒させていただいた。
 音楽療法については書物ではさまざまに読んでいたものの、実際に受講したことはなかったので、とても興味深かった。音楽というだれもが親しめる表現を通じてセラピー行為をする、その内容は音読療法にも通じるものが多かった。しかし、逆に、音読療法には音楽療法とは違った側面が多くあり、それはかなり有効なものではないか、という印象を強くした。
 音楽療法と音読療法の共通点と相違点について、あらためてしっかり確認しておきたい。

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