2012年11月21日水曜日

11月21日


◎今日のテキスト

 芸術家にして科学を理解し愛好する人も無いではない。また科学者で芸術を鑑賞し享楽する者もずいぶんある。しかし芸術家の中には科学に対して無頓着《むとんちゃく》であるか、あるいは場合によっては一種の反感をいだくものさえあるように見える。また多くの科学者の中には芸術に対して冷淡であるか、あるいはむしろ嫌忌《けんき》の念をいだいているかのように見える人もある。場合によっては芸術を愛する事が科学者としての堕落であり、また恥辱であるように考えている人もあり、あるいは文芸という言葉からすぐに不道徳を連想する潔癖家さえまれにはあるように思われる。
 科学者の天地と芸術家の世界とはそれほど相いれぬものであろうか、これは自分の年来の疑問である。
 ――寺田寅彦「科学者と芸術家」より

◎音読療法が大切にしていること

 音読療法では実証性と客観性を大切にしている。呼吸法にしろ音読エチュードにしろ、なにか一定の効果があると示すことについては、それが実証されるかどうかが大切だし、客観的に見て正当かどうかが重要だ。
 このような考えから、音読療法ではたとえ権威あるだれかがとなえている論をそのまま取りいれることはないし、また主観的でスピリチュアルな文脈も用いることはない。
 簡単な言葉でいえば、科学的で論理的な方法を採用している、ということになる。

0 件のコメント:

コメントを投稿