2012年11月20日火曜日

11月20日


◎今日のテキスト

 文吉《ぶんきち》は、ある夏休の末のこと、親不知子不知《おやしらずこしらず》の海岸に近い、従兄《いとこ》の家へあそびに行きました。
 そして、毎日従兄と一緒に、浜へつれて行ってもらって、漁夫《りょうし》たちの網をひくのを見たり、沖の方に、一ぱいにうかぶ帆舟を眺《なが》めたりしました。磯《いそ》にうちよせてくる小波《さざなみ》に、さぶさぶ足を洗わせながら、素足で砂の上を歩くのは、わけてたのしいことでした。
 二三日するうちに、文吉は、すっかり、海になれました。従兄につれてもらわなくとも、ひとりで浜へ出かけるようになりました。
 ある日のこと、朝御飯をたべると、すぐに、文吉は浜へ出かけて行きました。からりとよく晴れた日で、お日さまは、沖の方を、あかるくてらしていましたけれど、近く山を背負うた浜のあたりは、まだひやひやした蔭《かげ》になっていました。
 ――土田耕平「さがしもの」より

◎呼吸法を信じる

 音読療法でもおこなう呼吸法は、こころの病の予防や自律神経の不調による体調不良など、さまざまな不具合に大変有効な方法なのだが、あまりにシンプルすぎて「こんなんで効果があるの?」という猜疑心にかられる人が多い。
 多くの人は、なにか効果があることは努力が必要であったり、難しかったり、なにか権威に裏付けられていないとそれを疑う癖がある。
 しかし、呼吸法は古くから多くの人が実践してきたように、たしかに簡単でシンプルなものだが、しっかりした効果を期待できるものだ。

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