◎今日のテキスト
いつまで生きてていつ死ぬか解らない程、不安な淋しいことはないと、お葉《よう》は考えたのである。しかし人間がこの世に生れ出たその瞬間において、その一生が明らかな数字で表わされてあったならば、決定された淋しさに、終りの近づく不安さに、一日も力ある希望に輝いた日を送ることが、むずかしいかもしれない。けれどもお葉の弱い心は定められない限りない生の淋しさにたえられなくなったのである。そして三十三に死のうと思った時、それがちょうど目ざす光明でもあるかのように、行方のない心のうちにある希望を求め得たかのように、限りない力とひそかな喜びにたえられなかったのである。
――素木《しらき》しづ「三十三の死」より
◎頼まれごとをしたとき
人からなにか面倒な頼まれごとをしたとき、それを喜んでやるか、しぶしぶやるかでは、相手との関係性がまったく変わってしまう。
引き受けるなら、喜んで引き受ける。しぶしぶ引き受けるくらいなら、断るほうがよい。そして断るときは、喜んで断る。
喜んで引き受けるときは、自分が相手に貢献できるニーズを満たせると喜ぶのだし、喜んで断るときは、自分のニーズを大切にして引き受けない選択ができたことを喜ぶ。
しぶしぶ、とか、嫌々、という構えは、人間関係においてなにもよいことを生まない。
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