◎今日のテキスト
芝田さんの家の門は、ちょっと風変りです。その辺は屋敷町で、コンクリートの塀や、鉄格子の門扉や、御影石の門柱などが多く、至って近代的なのですが、そのなかに、道路より少しひっこんで、高さ一間半ほど、太さ二抱えほどの丸木が、二本立ち並び、木の格子がとりつけてあります。それが芝田さんの家の門です。丸木の門柱の方は、郊外の植木屋さんにでもありそうなもので、古く朽ちかけていますが、木の格子扉の方は、新らしく白々としています。昼間は、その格子扉が左右に開かれていて、中は砂利を敷いた表庭、竹垣で囲ってあり、檜葉の植込が数本、左手が、玄関になっています。
――豊島与志雄『白い朝』より
◎人になにかを頼むとき(二)
うまく頼みごとができたときは、相手はこちらの頼みごとを処理してやることができていい気分になれる。つまり、人に貢献できた、という気持ちになれる。
人間にはだれかの役に立ちたい、だれかの役に立てることがうれしい、という気持ちが共通にある。その相手の気持ちを見ながら頼みごとをする。そのためには、自分のこともちゃんと伝える必要がある。
「私はこういうことを必要としていて、それをあなたが満たしてくれるとうれしいんですが」
と伝えることで、相手は自分がこちらの役に立てるのだということを自覚できる。
なんらかの都合で頼みごとを相手に断られたとしても、相手の都合を大切にして恨みに思わないことが、次なる関係性へとつなげていける。
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