2012年10月3日水曜日

10月3日


◎今日のテキスト

 越後《えちご》の春日《かすが》を経て今津へ出る道を、珍らしい旅人の一群れが歩いている。母は三十歳を踰《こ》えたばかりの女で、二人の子供を連れている。姉は十四、弟は十二である。それに四十ぐらいの女中が一人ついて、くたびれた同胞《はらから》二人を、「もうじきにお宿にお着きなさいます」と言って励まして歩かせようとする。二人の中で、姉娘は足を引きずるようにして歩いているが、それでも気が勝っていて、疲れたのを母や弟に知らせまいとして、折り折り思い出したように弾力のある歩きつきをして見せる。近い道を物詣《ものまい》りにでも歩くのなら、ふさわしくも見えそうな一群れであるが、笠《かさ》やら杖《つえ》やらかいがいしい出立《いでた》ちをしているのが、誰の目にも珍らしく、また気の毒に感ぜられるのである。
 ——森鴎外『山椒大夫』より

◎呼吸のことを思いだす(二)

 呼吸は普段、無意識におこなっているが、意識的におこなうこともできる。呼吸法を意識的におこなうことで、呼吸の質を高めることができる。呼吸の質を高めれば、全身の活性化にもつながるし、また神経系の正常化にも役立つ。
 最初は呼吸法をもちいて意識的な呼吸を練習することで、普段から呼吸を意識できるようになる。
 呼吸は人の体内に酸素を取りこみ、逆に体内で作られた二酸化炭素を排出する。酸素が欠乏すれば人はただちに具合が悪くなり、意識が混濁し、やがては死にいたる。血中酸素濃度が95パーセントから90パーセントにさがるだけで、非常に具合が悪くなってしまう。
 しっかりとした呼吸は人の基本的生命活動を向上させ、生活の質を支える基本となる。

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