2012年10月25日木曜日

10月25日


◎今日のテキスト

 掃除をしたり、お菜《さい》を煮たり、糠味噌を出したりして、子供等に晩飯を済まさせ、彼はようやく西日の引いた縁側近くへお膳を据えて、淋しい気持で晩酌の盃を嘗《な》めていた。すると御免とも云わずに表の格子戸をそうっと開けて、例の立退き請求の三百が、玄関の開いてた障子の間から、ぬうっと顔を突出した。
「まあお入りなさい」彼は少し酒の気の廻っていた処なので、坐ったなり元気好く声をかけた。
「否《いや》もうここで結構です。一寸そこまで散歩に来たものですからな。……それで何ですかな、家が定《き》まりましたでしょうな? もう定まったでしょうな?」
「……さあ、実は何です、それについて少しお話したいこともあるもんですから、一寸まあおあがり下さい」
 ――葛西善蔵「子をつれて」より

◎健康体重について(一)

現代人は自分の体重について「重すぎる」とか「軽すぎる」とかかんがえすぎる傾向があって、いまの体重で健康にすごせていることを受け入れている人は少ないように感じる。多くの人が「ダイエットしなきゃ」とかんがえているのだが、いったいそのかんがえはどこからやってきたものだろうか。
身長160センチの女性なら体重は50キロくらいがいい、とか、60キロだとダイエットしなきゃ、とか、思いこんでつらい思いで毎日をすごしている人がいるが、その思いこみはどこからきたものか、ということだ。
自分の身体の調子を検証して、体重がオーバーだから調子が悪い、とか、医者から体重を落とすようにいわれた、というならわかるが、たいていの人は外から与えられた情報で「ダイエットしなきゃ」と思いこんでいる。そしてその「外」というのは、ほとんどがマスコミである。

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