◎今日のテキスト
暮れかかる山手の坂にあかり射して花屋の窓の黄菊しらぎく
この歌は、昭和十一年ごろ横浜の山手の坂で詠んだのであるが、そのときの花屋の花の色や路にさした電気の白い光も、すこしも顕れてゐない。何度か詠みなほしてみても駄目なので、そのまま投げてしまつた。しかし歌はともかく、秋のたそがれの坂の景色を私はその後も時々おもひ出してゐた。
まだ静かな世の中で、大森山王にゐた娘たち夫婦が私を横浜に遊びに誘つてくれた。遊びにといつても週間の日の午後四時ごろ出かけたのだから、ちよつとした夕食をするのが目的で、その前に彼の大好きな場所であつたフランス領事館の前のあき地に行つて散歩した。その時分のタクシイは一円五十銭ぐらゐの料金で、大森八景坂からそのフランス領事館の坂の上まで私たちをはこんでくれた。
――片山廣子『燈火節』「花屋の窓」より
◎フットセラピストとの共演(一)
世の中にはたくさんの種類の「セラピー」があって、なかにはその信憑性を疑うようなものもあるのだが、私が信頼をおいているセラピストのひとりに、フットセラピストの徳久珠央さんがいる。夫の徳久ウイリアム氏はボイスパフォーマーで、何度か共演したりワークショップでご一緒したりした。珠央さんともコラボすることがあって、私も少しだけ施術してもらったが、その技術の確かさとセラピーにたいする真摯さ、技術と知識の深さに感銘を受けることが多かった。
その珠央さんとコラボする機会を持てることになった。
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