2012年9月8日土曜日

9月8日


◎今日のテキスト

 国原はやみの夜空におほはれて星あきらかに天の川流る

 山かげの桃の林に星落ちてくわし少女は生れけむかも

 ぬば玉の闇の夜空に尾をひきて遠津海原ほしとびわたる

 ——長塚節『長塚節歌集 上』「星」より

◎自分の声(三)

 自分の声を「いやだ」と思う感情は、自分の声がいつも聴いている声と違っている違和感と、こうありたいというイメージとのズレから生まれる。
「いやだ」と思いつづけているうちは、自分の声で自分を表現することにうしろめたさを感じてしまう。まずは「この声は自分以外の他人全員が聴いている声なのだ」という認識を持ち、ありのままの自分の声を認めることから始める。他人にはこのように聴こえている自分の声を、いいとか悪いとか、好きとか嫌いという基準ではなく、ただ「このような声なのだ」という受容ができたとき、その声で自分を伝えたり表現するときの「ありのまま」であることの落ち着きを得ることができるだろう。
 自分の声が嫌いだからといって、作り声の練習をしたり、あこがれの練習をしたりしても、永遠に自分自身の声を認めることなく自分の存在そのものを否定したまま人生をすごすことになってしまう。それほど自分自身にとってかわいそうなことはないだろう。

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