2012年9月5日水曜日

9月5日


◎今日のテキスト

 俳諧師《はいかいし》松風庵蘿月《しょうふうあんらげつ》は今戸《いまど》で常磐津《ときわず》の師匠をしている実の妹をば今年は盂蘭盆《うらぼん》にもたずねずにしまったので毎日その事のみ気にしている。しかし日盛《ひざか》りの暑さにはさすがに家《うち》を出かねて夕方になるのを待つ。夕方になると竹垣に朝顔のからんだ勝手口で行水《ぎょうずい》をつかった後《のち》そのまま真裸体《まっぱだか》で晩酌を傾けやっとの事膳《ぜん》を離れると、夏の黄昏《たそがれ》も家々で焚《た》く蚊遣《かやり》の烟《けむり》と共にいつか夜となり、盆栽を並べた窓の外の往来には簾越《すだれご》しに下駄の音職人の鼻唄人の話声がにぎやかに聞え出す。蘿月は女房のお滝に注意されてすぐにも今戸へ行くつもりで格子戸を出るのであるが、その辺の涼台《すずみだい》から声をかけられるがまま腰を下すと、一杯機嫌の話好に、毎晩きまって埒《らち》もなく話し込んでしまうのであった。
 ——永井荷風『すみだ川』より

◎音読カフェのこと

 昨日、銀座教室で音読カフェがおこなわれた。おかげさまで盛況であった。
 呼吸法によるプレゼンスの意識からマインドフルネス、音読による表現のイキイキした楽しさを、皆さんにいくらかでも体験してもらえたのではないかと思う。
 カフェタイムに少し解説した共感的コミュニケーションにも興味を持っていただけたようだ。コミュニケーションに問題を覚えていたり、ストレスを感じている人は多い。これを解決することで大きなストレス対策になるし、心の健康を増進することにも役立つ。
 音読カフェは今日も開催する。参加費1,000円。

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