◎今日のテキスト
秋はみづいろにはがねをなせど
わが眼にくらく辰砂の方陣はみだれおち
岩巣にたちくらむ豺のごと
ひさしく激情のやまざるかな
日は無辺にせまりてものみなの隈のふるへか
わが肉は酸敗の草にそまりて滄々としづみゆきたり
しらず いづこに敵のかくるや
風の流れてはげしきなかを
黒 ひかり病む鑿地砲台
——逸見《へんみ》猶吉「無題」
◎カツゼツの話(三)
か行の子音は、ローマ字であらわせば「k」である。この子音はどのように作られるのか。まずよくよく自分がどのように「k」を作っているのか、観察してみてほしい。
まず舌のなかほどの部分をせりあげて、口のなかの奥のほう(軟口蓋の奥)で息をせき止める。そしてその舌をわずかにゆるませてせき止めた息を漏らすとき、空気がこすれる音(擦過音)が生まれる。そのノイズのような音が「k」という子音になる。その子音に母音の「a」がくっついて「ka」すなわち「か」という音になる。
じっくり観察してみるとわかると思うが、実に繊細で精妙な舌と口の形と呼吸のコントロールが組み合わさって、私たちは言葉の発音をしている。
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