2012年9月10日月曜日

9月10日


◎今日のテキスト


 電話口へ呼び出されたから受話器を耳へあてがって用事を訊いて見ると、ある雑誌社の男が、私の写真を貰いたいのだが、いつ撮りに行って好いか都合を知らしてくれろというのである。私は「写真は少し困ります」と答えた。
 私はこの雑誌とまるで関係をもっていなかった。それでも過去三四年の間にその一二冊を手にした記憶はあった。人の笑っている顔ばかりをたくさん載せるのがその特色だと思ったほかに、今は何にも頭に残っていない。けれどもそこにわざとらしく笑っている顔の多くが私に与えた不快の印象はいまだに消えずにいた。それで私は断わろうとしたのである。
 雑誌の男は、卯年《うどし》の正月号だから卯年の人の顔を並べたいのだという希望を述べた。私は先方のいう通り卯年の生れに相違なかった。

 ——夏目漱石『硝子戸の中』より

◎介護予防アーティスト養成講座

 私がメイン講師を務めるNPO法人アート・ビート・ハート主催の「介護予防アーティスト講座」が11月11日からスタートする。
 介護予防とは介護を必要としない元気な身体で老後を迎えるための健康法を促進する運動で、養成講座は音楽家などアーティストを中心に、音楽療法、音読療法を組み合わせたプログラムをマスターしてもらうために開催される。とくに若手アーティストに参加してもらいたく、30歳未満の方は無料で受講して資格取得をめざしてもらえる。
 音読療法、音楽療法、運動指導法、即興演奏法、共感的コミュニケーションなど、充実した内容の講座なので、興味のある方はまずは問い合わせていただきたい。
 アート・ビート・ハートのメールアドレス「artbeatheart2011@gmail.com」または音読療法協会「info@voicetherapy.org」まで。

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