2012年7月4日水曜日

7月4日

◎今日のテキスト

 鵙《もず》の声が鋭くけたたましい。万豊の栗林からだが、まるで直ぐの窓上の空ででもあるかのようにちかぢかと澄んで耳を突く。きょうは晴れるかとつぶやきながら、私は窓をあけて見た。窓の下はまだ朝霧が立ちこめていたが、芋《いも》畑の向方《むこう》側にあたる栗林の上にはもう水々しい光が射《さ》して、栗拾いに駈けてゆく子供たちの影があざやかだった。そして見る見るうちに光の翼は広い畑を越えて窓下に達しそうだった。芋の収穫はもうよほど前に済んで畑は一面に灰色の沼の観で、光が流れるに従って白い煙が揺れた。万豊はそこで小屋掛の芝居を打ちたいはらだが、青年団からの申込みで来るべき音頭小唄《おんどこうた》大会の会場にと希望されて不承無承にふくれているそうだった。
 ——牧野信一「鬼涙村」より

◎マインドフルに生きるためのTODOリスト

 現代人は用事が多い。ただ生活をしていくだけなのに、あれもこれもとやるべきことに毎日追われている。人からの頼まれ事も多い。それらを忘れないように、いつも用事のことをかんがえていて、「心ここにあらず」のマインドレスの状態におちいってしまっている。
 それらの用事を一度全部、手帳に書きだしてみる。思いつくかぎりの頭のなかにある懸案事項を書きだしてみる。そしてそのことをいったん全部忘れてしまう。
 思い出す必要があれば、手帳を見ればいい。しかし、ふだんは忘れてしまっていていい。手帳に書いてあるのだから。そしてふだんは、「いまここ」に目をむけてみる。

2 件のコメント:

  1. 忘れないように覚えていなくちゃっということに取り付かれていると、脳の中に本当は自分がめざしたいことをワクワク思い描くスペースがなくなる気がします。手帳、いいですね。行動も考えも感情もちぐはぐな時と手帳を書かない時はいつも一致しています。

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  2. とくに私は忘れっぽいので、やらなきゃいけないことがたくさんあると、忘れないようにしようと落ち着かない気分になります。
    手帳についてはあらためてまた書いてみますね。

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