◎今日のテキスト
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
からまつの林を出《い》でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨《きりさめ》のかかる道なり。
山風《やまかぜ》のかよふ道なり。
——北原白秋『水墨集』「落葉松」より
◎身体の不具合にきちんと気づく
自分の身体のことは自分が一番よく知っている、という人がいるが、その言葉ほど偽りに満ちたものはない。真実は、自分の身体のことは自分が一番わからない、ということだ。
とくに現代人は自分の身体の状態を無視する訓練を受けている。これは軍隊の教練以来の歴史だと思うのだが(ただし私は経験がありません)、どこかが痛くても、疲れていても、だるくても、なかったことにして目の前の用事をがんばってこなそうとする。疲れていることを無視して働きつづけたり、勉強をつづけたりする。
そのうちそれがツケとしてたまって、ドッとシッベ返しをくらったときにはもう取り返しのつかないことになっている。
自分の身体の声に耳をすませてみよう。どこか無理をしていないか。不具合はないか。かすかな悲鳴が聞こえはしないか。
いつも身体を大切に扱ってやっていれば、いざというとき期待にこたえてくれるものだ。
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