2012年7月30日月曜日

7月30日

◎今日のテキスト

 最近は、政治的に行きつまり、経済的にも、また行きつまっている様な気がする。その反映は文芸の上にも現われていないことはない。だが、この時にこそ、文芸は、展開せられるのでもある。我々は、常に、思想の自由を有している。空想し、想像することの自由を有している。外的関係が、心までを萎縮するとはかぎらない。
 現実の上に、真美の王国を築くことのできないものはこれを常に心の上で築くことである。芸術は、即ち、その表現である。恍洋たるロマンチシズムの世界には、何人も、強制を布くことを許さぬ。こゝでは、自由と美と正義が凱歌《がいか》を奏している。我等は、文芸に於てこそ、最も自由なるのではないか。誰か、文芸は、政治に従属しなければならぬという?
 ——小川未明「自由なる空想」より

◎人の耳は人の声を聞くようにできている

 人の聴覚は20Hzから20000Hz程度の周波数帯を聴き取れるような能力があるといわれている。
 実際にはもっとずっと狭いようだが。
 人の声はさらにもっと狭い300Hzから700Hzくらいの音域だ。
 人はそのあたりの音域や、人の声の音質を「心地よい」と感じるようになっている。
 それは、赤ん坊が言語を学習するためにどうしても必要なことなのだ。
 赤ん坊はお母さんの声をはじめ、人の声がここちよいので、懸命に耳を傾ける。
 その結果、言葉を覚えることができる。
 声以外の周波数帯の音も聞こえる構造になっているのは、自然界に存在するさまざまな音——たとえば危険を察知するための音、雷や動物の鳴き声など——を聞き分ける必要があるからだ。

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