2012年7月27日金曜日

7月27日

◎今日のテキスト

 時こそ今は水枝《みづえ》さす、こぬれに花の顫《ふる》ふころ。
 花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
 匂も音も夕空に、とうとうたらり、とうたらり、
 ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦《う》みたる眩暈《くるめき》よ。

 花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
 痍《きず》に悩める胸もどき、ヴィオロン楽《がく》の清掻《すががき》や、
 ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦みたる眩暈《くるめき》よ、
 神輿《みこし》の台をさながらの雲悲みて艶《えん》だちぬ。
 ——上田敏『海潮音』のシャルル・ボドレエル「薄暮の曲」より

◎夜は千の目を持つ

 これはジャズでよく演奏されるスタンダードナンバーとしても有名ですが、もともとは古いサスペンス映画の題名であり、元は小説である。原題は「The Night Has A Thousand Eyes」。
 夜闇にまぎれて悪いことをしようとしても、千の目が見ているよ、といった、日本の故事でいえば「壁に耳あり、障子に目あり」みたいなニュアンスの成句らしいが、この言葉にはつづきがある。「昼はただひとつ」という。
 私は少年時代をSF小説にどっぷりつかってすごしたSFファンなので、映画や音楽よりも、むしろ宇宙をイメージしてしまう。
 もうすぐペルセウス座流星群の時期がやってくる。星を見て「いまここ」を意識するのはわくわくする体験だ。

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