2012年5月1日火曜日

5月1日

◎今日のテキスト

 宮重《みやしげ》大根のふとしく立てし宮柱は、ふろふきの熱田の神のみそなわす、七里のわたし浪《なみ》ゆたかにして、来往の渡船難なく桑名につきたる悦《よろこび》のあまり……
 と口誦《くちずさ》むように独言《ひとりごと》の、膝栗毛《ひざくりげ》五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空《なかぞら》は冴切《さえき》って、星が水垢離《みずごり》取りそうな月明《つきあかり》に、踏切の桟橋を渡る影高く、灯《ともしび》ちらちらと目の下に、遠近《おちこち》の樹立《こだち》の骨ばかりなのを視《なが》めながら、桑名の停車場《ステエション》へ下りた旅客がある。
 ——泉鏡花『歌行燈』より

◎感情の共鳴

 人はミラーニューロンという神経の働きを持っている。これは社会的動物であるところの人間には、生存のために必要不可欠なもので、赤ん坊のころからずっとその働きを向上させつづける本能を持っている。その証拠は学問的にもいくつか明示されている。
 ミラーニーューロンの働きによって、人は自分が見たり向かい合ったりしている他人の身体の状態や感情を、たえず写し取ろうとする。悲しい感情の人を前にすると、こちら側にも悲しいときの神経回路が刺激されるし、楽しい気分の人の前ではこちらも楽しいときの神経回路が働く。動いている人を見るときも、こちらは実際に動かなくても運動するときの神経回路が活性化する。
 この働きを表現やセラピーの場で利用できる。

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