2012年5月30日水曜日

5月30日

◎今日のテキスト

 私はいろいろ不思議な国を旅行して、さまざまの珍しいことを見てきた者です。名前はレミュエル・ガリバーと申します。
 子供のときから、船に乗って外国へ行ってみたいと思っていたので、航海術や、数学や、医学などを勉強しました。外国語の勉強も、私は大へん得意でした。
 一六九九年の五月、私は『かもしか号』に乗って、イギリスの港から出帆しました。船が東インドに向う頃から、海が荒れだし、船員たちは大そう弱っていました。
 十一月五日のことです。ひどい霧の中を、船は進んでいました。その霧のために、大きな岩が、すぐ目の前に現れてくるまで、気がつかなかったのです。
 あッという間に、岩に衝突、船は真二つになりました。
 ——ジョナサン・スイフト『ガリバー旅行記』(原民喜・訳)より

◎表現におけるオリジナリティ(二)

 頭でかんがえて、こうやろう、こんなふうに解釈しよう、という表現は、本当の意味でオリジナルとはいえない。そのかんがえは自分のなかから出てきたものではなく、おそらく後天的に外側から与えられて、獲得してきたものだからだ。
 かんがえを放棄して、自分の身体と生理にまかせて表現する。感覚をひらいて自分の内側と外側をつなぎ、マインドフルに表現する。そのとき、唯一無二のオリジナルな表現が生まれるだろう。

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