2012年3月6日火曜日

3月6日

◎今日のテキスト

 後《のち》の月という時分が来ると、どうも思わずには居られない。幼い訣《わけ》とは思うが何分にも忘れることが出来ない。もはや十年余《よ》も過去った昔のことであるから、細かい事実は多くは覚えて居ないけれど、心持だけは今なお昨日の如く、その時の事を考えてると、全く当時の心持に立ち返って、涙が留めどなく湧くのである。悲しくもあり楽しくもありというような状態で、忘れようと思うこともないではないが、寧《むし》ろ繰返し繰返し考えては、夢幻的の興味を貪《むさぼ》って居る事が多い。そんな訣から一寸《ちょっと》物に書いて置こうかという気になったのである。
 ——伊藤左千夫『野菊の墓』より

◎行動の癖に気づいて観察する

 歯を磨くときの「癖」や「パターン」を観察してみる。
 毎日やっていることなので、ほとんど無意識でできるし、やっているだろう。歯ブラシに歯磨きを乗せ、口のなかに突っこむ。どの歯から磨いているだろうか。前歯なのか、奥歯なのか。
 癖になってしまっていることを意識的に観察してみる。いま磨いている歯はどの歯なのか。前歯を磨いた次はどの歯を磨くのか。
 ときには意識的にそのパターンを変えてみる。前歯の次は左上の奥歯を磨いていたのを、いつもとは逆に右の奥歯に行ってみる。そのとき、どんな感じを受けるだろうか。
 この「観察」ができているとき、「いまここ」の意識が生まれているといっていい。

2 件のコメント:

  1. 観察してみました。
    毎回、ほぼ同じ順に手を動かし、ほぼ同じ顔で鏡に向かっていることに初めて気づきました。
    自分の動きなのに、マシーンみたいで笑ってしまいました。
    まずは、手をいつもと逆に動かし、そのときの気分を表情に変えて鏡に向かってみます。

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  2. とこなおたんさん。
    マシーンみたいでしたか。時々ニンゲンに戻ってみてください。

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