2012年3月14日水曜日

3月14日

◎今日のテキスト

晴れ上がって急に暑くなった。 朝から手紙を一通書いたばかりで何をする元気もない。 なんべんも机の前へすわって見るが、じきに苦しくなってついねそべってしまう。 時々涼しい風が来て軒のガラスの風鈴が鳴る。 床の前には幌蚊帳《ほろがや》の中に俊坊が顔をまっかにして枕をはずしてうつむきに寝ている。 縁側へ出て見ると庭はもう半分陰になって、陰と日向《ひなた》の境を蟻がうろうろして出入りしている。 このあいだ上田の家からもらって来たダーリアはどうしたものか少し芽を出しかけたままで大きくならぬ。 戸袋の前に大きな広葉を伸ばした芭蕉《ばしょう》の中の一株にはことし花が咲いた。 大きな厚い花弁が三つ四つ開いたばかりで、とうとう開ききらずに朽ちてしまうのか、もう少ししなびかかったようである。
——寺田寅彦『花物語』より「芭蕉の花」冒頭

◎呼吸を数えてみる

呼吸を観察する、といっても最初は漠然としてつかみどころがないように感じる人もいるかもしれない。またそうでない人にもやってみることをおすすめしたいのは、自分の呼吸を数えてみる、というプラクティスだ。
吐いて、吸って、この一往復で「一」とカウントする。
時計を見るかタイマーをかけるかして、三分間数えてみる。その数を三で割ったものが、一分あたりの自分の呼吸数だ。
だいたい15回前後の人が多いようだが、それよりずっと少なくても、あるいはずっと多くても、異常だということはない。人それぞれ呼吸数はまちまちで、さまざまな数字が出てくる。その数字自体を気にすることはない。
とにかく、自分の平常時の呼吸数がどのくらいなのか、何度か計ってみよう。

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