2012年3月17日土曜日

3月17日

◎今日のテキスト

 こんな夢を見た。
 腕組をして枕元に坐《すわ》っていると、仰向《あおむき》に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔《うりざねがお》をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然《はっきり》云った。自分も確《たしか》にこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗《のぞ》き込むようにして聞いて見た。死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと眼を開けた。大きな潤《うるおい》のある眼で、長い睫《まつげ》に包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒な眸《ひとみ》の奥に、自分の姿が鮮《あざやか》に浮かんでいる。
 ——夏目漱石『夢十夜』より

◎深層筋を意識する

 筋肉は身体の表面にあって強くすばやい動きを作るための表層筋と、身体の内側にあって姿勢や呼吸を維持するための深層筋がある。
 筋肉を鍛えるというと、表層筋を意識することが多く、負荷をかけて筋肉を収縮させることで筋繊維を太くする運動をする。しかし、深層筋はそのような運動では鍛えにくい。筋肉の性質が異なっているからだ。
 深層筋は収縮させるのではなく、むしろ伸張させた状態で力を加えることで、鍛えることができる。つまりストレッチである。
 さまざまなストレッチは深層筋を整えることに大変有効だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿