2012年3月10日土曜日

3月10日

◎今日のテキスト

 海浜の松が凩《こがらし》に鳴り始めた。庭の片隅で一叢《ひとむら》の小さなダリヤが縮んでいった。
 彼は妻の寝ている寝台の傍《そば》から、泉水の中の鈍い亀の姿を眺《なが》めていた。亀が泳ぐと、水面から輝《て》り返された明るい水影が、乾いた石の上で揺れていた。
「まアね、あなた、あの松の葉がこの頃それは綺麗《きれい》に光るのよ」と妻は云った。
「お前は松の木を見ていたんだな」
「ええ」
「俺は亀を見てたんだ」
 二人はまたそのまま黙り出そうとした。
 ——横光利一「春は馬車に乗って」より

◎自律神経

 ヒトの神経系はおおきく分けて、随意神経系の運動神経と感覚神経、そして不随意神経系である自律神経がある。
 自律神経はその名称に反して自分でコントロールしにくい神経系だ。これが不調をきたすと、さまざまな障害となって生活面で支障をきたすようになる。
 不眠、生理不順、下痢や便秘などの消化系の不調、免疫力の低下、その他不安神経症や欝の原因になることもある。
 自律神経は交感神経と副交感神経のペア(対)でできている。互いに補完しあう関係にあって、交換神経が優位にあるときは副交感神経は下位にある。その逆もある。交換神経は人が活発に活動するときに優位になる。逆に副交感神経は人が休息するときに優位になる。
 不随意神経ではあるが、これにアクセスする有効な方法のひとつが呼吸法である。

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