2012年3月28日水曜日

3月28日

◎今日のテキスト

山路《やまみち》を登りながら、こう考えた。
智《ち》に働けば角《かど》が立つ。情《じょう》に棹《さお》させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高《こう》じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟《さと》った時、詩が生れて、画《え》が出来る。
——夏目漱石『草枕』より

◎イフ(if)の罠

人はよく「あのときこうしておけばいまごろこんなことにはなっていなかったのに」とか、「あのときああしなければこんなことにはなっていなかったのに」という後悔にさいなまれることがある。
これは一種の思考パターンである。
「ああしておけば」も「ああしなければ」も、いずれの選択肢を取っていたにせよ、現在は後悔に満ちているだろう。つまりは「過去の選択肢を思い悩んで現在を後悔する」という思考パターンに陥っているにすぎない。すべては「いまここ」の選択肢に意識を向けることにある。

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