2012年8月4日土曜日

8月4日


◎今日のテキスト

私は散歩に出るのに二つの路を持っていた。一つは渓《たに》に沿った街道で、もう一つは街道の傍から渓に懸った吊橋《つりばし》を渡って入ってゆく山径だった。街道は展望を持っていたがそんな道の性質として気が散り易かった。それに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。どちらへ出るかはその日その日の気持が決めた。
しかし、いま私の話は静かな山径の方をえらばなければならない。
——梶井基次郎「筧の話」より

◎風土(四)

私のところにはいろいろな土地の出身者がやってくる。活動拠点が東京なので東京に住んでいる人が多いのだが、みんなが東京出身というわけでもない。むしろ地方出身者のほうが多いだろう。東京とはそういう土地なのだ。
静岡や愛知の人はほがらかな感じの人が多い。もちろん人の性格というのは個人差が大きく、静岡の人が全員ほがらかというわけではないことは当然だが、ほがらかな感じの人の割合が多いのは、私の経験からいえば確かなことのように思える。県民性という言葉もある。
風土とひとことでいうが、では具体的にどんなものから「自分の性格や人間性の形成」に影響を受けるのだろうか。

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