2012年8月3日金曜日

8月3日

◎今日のテキスト

「プレゼントのないクリスマスなんか、クリスマスじゃないわ。」と、ジョウは、敷物の上にねそべって不平そうにいいました。
「貧乏ってほんとにいやねえ。」と、メグはじぶんの着古した服を見ながらため息をつきました。
「ある少女が、いいものをたくさんもち、ある少女が、ちっとも、もたないなんて、不公平だと思うわ。」と、小さいエミイは、鼻をならしながらいいました。
「でもね、あたしたちは、おとうさんもおかあさんもあるし、こうして姉妹があるんだもの、いいじゃないの。」と、ベスが、すみのほうから満足そうにいいました。
ストーブの火に照らしだされた四つのわかわかしい顔は、この快活な言葉でいきいきとかがやきましたが、ジョウが悲しそうに、
「だって、おとうさんは従軍僧で戦争にいっておるすだし、これからも長いことお目にかかれないと思うわ。」と、いったとき、またもやくらい影におおわれ、だれもしばらく口をききませんでした。
 ——ルイザ・メイ・オルコット『若草物語』(水谷まさる・訳)より

◎風土(三)

 北陸の山間部や京都の人々が持つ(私をふくむ)二面性に気づいたのは、そういう二面性のない風土が存在すると知ったときだ。
 学生時代、漁村で生まれ育った女性と親しくなった。彼女は実にストレートなものいいで、自分の思ったことははっきりと伝える、あるいはまったく伝えない、のどちらかしかない。自分の思ったことを「相手にどう受け取られるか」をおもんぱかって別の言葉にいいかえたり、オブラートにくるむという発想はまったくない。それは彼女が生まれ育った環境がそうさせたのだ。

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