2012年8月2日木曜日

8月2日

◎今日のテキスト

「おに」と言ふ語《ことば》にも、昔から諸説があつて、今は外来語だとするのが最勢力があるが、おには正確に「鬼」でなければならないと言ふ用語例はないのだから、わたしは外来語ではないと思うてゐる。さて、日本の古代の信仰の方面では、かみ(神)と、おに(鬼)と、たま(霊)と、ものとの四つが、代表的なものであつたから、此等に就て、総括的に述べたいと思ふのである。
鬼は怖いもの、神も現今の様に抽象的なものではなくて、もつと畏しいものであつた。今日の様に考へられ出したのは、神自身の向上した為である。たまは眼に見え、輝くもので、形はまるいのである。ものは、極抽象的で、姿は考へないのが普通であつた。此は、平安朝に入つてから、勢力が現れたのである。
 ——折口信夫「鬼の話」より

◎風土(二)

 北陸の山間部に生まれ育ったので、そこの風土や人々の気質があたりまえだったけれど、高校を卒業して最初に移り住んだ京都で、ずいぶんとその土地によって考え方や態度が違うことを実感した。
 といっても、あとから考えると、京都という特殊な土地と、北陸の山間部の風土は、ちょっと似たところもあった。多くの人々は二面性に生きている。つまり本音と建前がはっきりとあって、私自身は自分がそのような二面性を持っていることに長らく気づけなかった。

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