◎今日のテキスト
馬車の中で
私はすやすやと眠ってしまった。
きれいな婦人よ
私をゆり起してくださるな
明るい街燈の巷《ちまた》をはしり
すずしい緑蔭の田舍をすぎ
いつしか海の匂いも行手にちかくそよいでいる。
ああ蹄《ひづめ》の音もかつかつとして
私はうつつにうつつを追う
きれいな婦人よ
旅館の花ざかりなる軒にくるまで
私をゆり起してくださるな。
——萩原朔太郎『青猫』より「馬車の中で」
◎感情を客観的に見る(三)
演劇、音楽、美術、ダンス、朗読、小説など、表現活動をする過程ではかならず、他人から「評価」を受けることがある。表現活動といわなくても、仕事や勉強、家事といった活動においてもたえまなく評価を受ける。
よい評価ならうれしいが、悪い評価を受けると落ちこんでしまいがちだ。
そのとき、自分に向けられた評価の内容を見ずに、相手の感情を見る。相手はどのような感情を持ちながらその評価の言葉を発しているのか。そしてその感情からどのような相手のニーズを推察することができるか。
相手のニーズにつながれれば、どんな評価もこわくなくなる。
0 件のコメント:
コメントを投稿