2012年6月11日月曜日

6月11日

◎今日のテキスト

 今からもう二十余年も昔の話であるが、ドイツに留学していたとき、あちらの婦人の日常生活に関係した理化学的知識が一般に日本の婦人よりも進んでいるということに気のついた事がしばしばあった。例えば下宿のおかみさんなどが、呼鈴《よびりん》や、その電池などの故障があったとき少しの故障なら、たいてい自分で直すのであった。当時はもちろん現在の日本でも、そういう下宿のお神さんはたぶん比較的に少ないであろうと思われる。室内電燈のスウィッチの、ちょっと開けてみれば分るような簡単な故障でも、たいてい電燈会社へ電話をかけて来てもらうのが普通であるらしい。
 些細なようなことで感心したのは、風呂を立ててもらうのに例えば四十一度にしてくれと頼めばちゃんと四十一度にしてくれる。四十二度にと云えば、そんなに熱くてもいいのかと驚きはするが、ちゃんと四十二度プラスマイナス〇・何度にしてくれるのである。
 ——寺田寅彦「家庭の人へ」より

◎息を止めてみる(二)

 意識的に息を止めるには、まず血中酸素濃度をあげる。そうすれば、ただ息を止めるより長く息を止めていられる。
 血中酸素濃度をあげるには、すばやく浅い呼吸を繰り返す。マラソンをしているときのイメージで「吸って」「吐いて」をすばやく数十回繰り返す。
 血中酸素濃度があがったくると、脳が「過酸素」の状態になり、頭がクラクラすることがあるが、そのときにはちょっと休むとよい。別段、大きな異常というわけではないので、過剰な心配は無用だ。
 そうやって血中酸素濃度をあげてから、息を止めてみる。
 呼吸の止まった静かな自分の身体の状態を観察する。

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