◎今日のテキスト
手をこまぬきて逍遙《さまよひ》の
牛の牧場《まきば》に日は暮れぬ
夕《ゆふべ》の声の譜に合はず
林の中にひびきあり
松の林のあちこちに
耳傾けて佇《たたず》めば
そは鵙《もづ》の子のたはぶれて
小鳥《とり》の音を鳴く狡猾者《わるもの》よ
汝《なれ》は野の鳥山の鳥
野の朝山の夕間暮《ゆふまぐれ》
小鳥を覗《ねら》ふ蛇の子の
げに横着者《しれもの》よ鵙の子よ
――野口雨情「百舌子」より
◎だれかになにかをやってもらいたいとき
演出という仕事をしていると、役者や朗読者に「このようにやってほしい」と伝えたいことがある。そのときの語法について考えたことがあるのだが、語法は五種類あるとわかった。
「命令する」「要求する」「お願いする」「提案する」「共感する」
このとおりの順番でうまくいかない、から、うまくいく、となっている。これは経験的な実感にもとづいている。
そういえば私はここ何年も、人になにかを「命令」したことがない。人が人になにかを命じたり強要するという関係性においてなにかしら良いことが起こるとは、とても想像できない。
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