2012年12月31日月曜日

12月31日


◎今日のテキスト

 長いクロワゼットの散歩路が、あおあおとした海に沿うて、ゆるやかな弧を描いている。遥か右のほうに当って、エストゥレルの山塊がながく海のなかに突き出て眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた嶺岑《みね》をいくつとなく擁するその山姿は、いかにも南国へ来たことを思わせる、うつくしい眺めであった。
 頭を囘《めぐ》らして右のほうを望むと、サント・マルグリット島とサント・オノラ島が、波のうえにぽっかり浮び、樅《もみ》の木に蔽われたその島の背を二つ見せている。
 ――モオパッサン「初雪」(訳・秋田滋)より

◎大晦日

 いよいよ2012年も最後の日となった。今年二月から丸一年つづけようと決意してスタートしたこの「音読日めくり」は、残すところ一か月ちょっととなった。我ながらよくつづいたものだと思う。ただの一日も休むことがなかったのは、自分へのお祝いとしたい。
 自分がなにかやりとげたとき、それをきちんと認識して「お祝い」するのは重要なことだ。とはいえ、私にとってとても苦手なことでもある。自分をお祝いするということばや行為には、どこか罪悪感をともなうようなところがある。なので、なにか自分にとって大切なことをやりとげても、なかば無意識にそれから目をそむけ、「つぎ行こう」みたいに先のことに目をむけようという「癖」が身にしみついていることに気づく。
 しかし、それだと自分をきちんと扱っていないことになり、結局のところはまわりの人にも迷惑をかけることになってしまう。思えばそのようなことが連続していた人生のような気がする。せめてあたらしい年は……

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