◎今日のテキスト
われ非情の大河を下り行くほどに
曳舟の綱手のさそいいつか無し。
喊《わめ》き罵る赤人等、水夫を裸に的にして
色鮮やかにえどりたる杙《くひ》に結いつけ射止めたり。
われいかでかかる船員に心残あらむ、
ゆけ、フラマンの小麦船、イギリスの綿船よ、
かの乗組の去りしより騷擾はたと止みければ、
大河はわれを思いのままに下り行かしむ。
――アルテュル・ランボオ「酔いどれ船」(訳・上田敏)より
◎全身を耳にして聴く(三)
目を閉じ、視覚を遮断すると、おもしろい効果がわかる。遮断された感覚をおぎなおうとして、ほかの感覚が鋭くなるのだ。聴覚はもちろん、味覚も触覚も臭覚も鋭くなる。この現象を利用して、自分の感覚をとぎすましたり、スイッチをいれる練習ができる。
目を閉じて自分のまわりの音を収集する練習をすると、どんどん聴覚が鋭くなっていくことに気づくだろう。これはなにも聴覚が物理的によくなったのではなく、もともと持っている眠っていた能力が立ちあがってきたにすぎない。
そのように私たちは多くのポテンシャルを持ちながらそれを眠らせてしまっている。
0 件のコメント:
コメントを投稿