2012年12月18日火曜日
12月18日
◎今日のテキスト
百足凧――これは私達の幼時には毎年見物させられた珍らしくもなかった凧である。当時は、大なり小なり大概の家にはこの百足の姿に擬した凧が大切に保存されていた。私の生家にも前代から持ち伝えられたという三間ばかりの長さのある百足凧があった。この大きさでは自慢にはならなかった。小の部に属するものだった。それだと云っても子供の慰み物ではない。子供などは手を触れることさえも許されなかったのだ。端午の節句には三人の人手をかりて厳かな凧上げ式を挙行したものである。――因縁も伝説も迷信も、そして何として風習であったのかということも私は、凧に就いては聞き洩したので今でも何らの知識はない。花々しい凧上げの日の記憶が、ただ漠然と残っているばかりである。それにしてもあれ程凄まじかった伝来の流行が、今はもう全くの昔の夢になったのかと思うと若い私は可怪《をか》しな気がする。
――牧野信一「鱗雲」より
◎薬にたよらない
私の知り合いでも何人か、精神科や心療内科にかかって、うつ病や不安神経症、不眠症の治療薬を処方してもらって飲んでいる者がいる。
有名な医学雑誌「The Lancet」に掲載された論文によれば、向精神薬の依存性はタバコやアルコール、違法ドラッグと比べても相当に高いという結果が出ている。これは20の薬物について身体依存、精神依存、多幸感のスコア尺度を示している。
薬にたよらず、呼吸法や認知行動療法によって心身の調子を整えていく方法がある。私は医者ではないので治療行為はできないが、有効な方法についての知識は持っているので、相談してもらえれば助言はできる。
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