2012年4月8日日曜日

4月8日

◎今日のテキスト

 学校へいくとちゅうに、大きな池がありました。
 一年生たちが、朝そこを通りかかりました。
 池の中にはひよめが五六っぱ、黒くうかんでおりました。
 それをみると一年生たちは、いつものように声をそろえて、

 ひイよめ、
 ひよめ、
 だんごやアるに
 くウぐウれッ、

 とうたいました。
 するとひよめは頭からぷくりと水のなかにもぐりました。だんごがもらえるのをよろこんでいるようにみえました。
 ——新美南吉「一年生たちとひよめ」より

◎対価とか等価交換とか(1)

 朗読や音楽のライブをやるときに、出演者から聞く言葉で私がもっとも残念に感じるフレーズのひとつに、こういうものがある。
「チケットが2,000円だからそれに見合うだけの内容にしたい」
「こんなに下手なのに2,000円ももらえない」
 この言葉の裏には「等価交換」という現代の経済システムの考え方が持ちこまれている。2,000円の金額に対しては、それに見合うだけの物やサービス・娯楽が提供されるべきだ、というものだ。私はこれを大変貧しい考え方だと思っている。
 そもそも表現活動は経済活動なのだろうか。

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