◎今日のテキスト
想えば単純な材料に過ぎない。それなのに眺めていて惹きつけられる。手漉きの和紙はいつだとて魅力に満ちる。私はそれを見つめ、それに手を触れ、言い難い満足を覚える。美しければ美しいほど、かりそめには使い難い。余ほどの名筆ででもなくば、紙を穢すことになろう。そのままでもう立派なのである。考えると不思議ではないか、只の料紙なのである。だが無地であるから、尚美しさに含みが宿るのだとも云えよう。良き紙は良き夢を誘う。私は紙の性情を思い、その運命を想い。
——柳宗悦「和紙の美」より
◎よい天気、悪い天気
よく考えると、天気にいい・悪いもない。それぞれの人の都合で、その天気が「よい」だの「悪い」だの、勝手な判断をしているにすぎない。
雨が降ると「天気が悪い」という人もいれば、「恵みの雨だ」と思う人もいる。
世の中の事象はすべて、実はあるがままあるのであって、それをいいだの悪いだの判断して一喜一憂しているのは、人間の勝手な思考である。ただありのまま受け入れて、それを味わうことができれば、人の短い人生もどれだけ豊かなものになるだろうか。
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