◎今日のテキスト
鵙《もず》の声が鋭くけたたましい。万豊の栗林からだが、まるで直ぐの窓上の空ででもあるかのようにちかぢかと澄んで耳を突く。きょうは晴れるかとつぶやきながら、私は窓をあけて見た。窓の下はまだ朝霧が立ちこめていたが、芋畑の向方《むこう》側にあたる栗林の上にはもう水々しい光が射《さ》して、栗拾いに駈けてゆく子供たちの影があざやかだった。そして見る見るうちに光の翼は広い畑を越えて窓下に達しそうだった。芋の収穫はもうよほど前に済んで畑は一面に灰色の沼の観で、光が流れるに従って白い煙が揺れた。
——牧野信一「鬼涙村」より
◎意識して服を着る
知人から聞いた話だが、和装をするときには着付けの手順をひとつひとつ確認しながら着るので、自分の身体のことをとても意識するのだそうだ。ということは、和装でなくても、普段、洋服を着るときにも、手順をきちんと意識すればいいのではないか。
服を着るときの手順はほとんど決まってしまっているので、ほぼ無意識にやっている人が多いのではないだろうか。自分がどのような手順で服を着ているのか、そのとき自分の身体の感覚はどうなっているのか、あらためて意識を向け直してみるのはどうだろう。
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