2013年1月7日月曜日

1月7日


◎今日のテキスト

 段ばしごがギチギチ音がする。まもなくふすまがあく。茶盆をふすまの片辺《かたべ》へおいて、すこぶるていねいにおじぎをした女は宿の娘らしい。霜枯れのしずかなこのごろ、空もしぐれもようで湖水の水はいよいよおちついて見える。しばらく客というもののなかったような宿のさびしさ。
 娘は茶をついで予《よ》にすすめる。年は二十《はたち》ばかりと見えた。紅蓮《ぐれん》の花びらをとかして彩色したように顔が美しい。わりあいに顔のはば広く、目の細いところ、土佐絵などによく見る古代女房《こだいにょうぼう》の顔をほんものに見る心持ちがした。富士のふもと野の霜枯れをたずねてきて、さびしい宿屋に天平式《てんぴょうしき》美人を見る、おおいにゆかいであった。
 ――伊藤左千夫「河口湖」より

◎自然治癒力(四)

 ヨガを毎日つづけるのは大変だ、という人が多いかもしれない。音読療法の呼吸法でも、ヨガのポーズとおなじとはいえないまでも、ある程度の自然治癒力を強化する効果はある。
 音読療法で最初におこなう「ホールブレス」はできるだけ完全に吐ききり、そこからゆっくりと細く長く吸っていって、いっぱいいっぱいまで肺をふくらませる。それを繰りかえす呼吸法だ。このとき、ふだんあまり使うことのない呼吸筋群にかなりの負荷をあたえることができる。
 息を吐ききるとき、内肋間筋と、外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋といった深層の腹筋群をたくさん収縮させる。息を吸いきるとき、外肋間筋、横隔膜などの筋肉群をいっぱいまで収縮させる。また、吐ききるときも、吸いきるときも、みじかい時間だが呼吸を止めることになる。これは一種のヨガのポーズを取るような作用がある。
 筋肉に負荷をかけ、そこからゆっくりと弛緩へともどっていく。このプロセスで自然治癒力が強化されるというのは、ヨガの原理とおなじく期待できることだ。

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