◎今日のテキスト
封建的、鎖国的な旧日本の文化は、所謂「能」と「歌舞伎」とを今日に残した。この二つの珍奇な演劇種目《ジャンル》は、それぞれ長い伝統の上に築かれた特殊の美を誇っており、一つは、貴族的、武士的な趣味を、一つは民衆的、市井的な趣味を代表し、現在においても、熱心な支持者をもっている。
およそ世界の舞台芸術を通じて、人間の創造的努力が、これほど犠牲的に、ある完成のために捧げられ、「常識美」の極致を徐々に、無意識に築き上げた例はないのであって、その点、民族的なもの或は時代的なものと、個人的なもの或は天才的なものとを、その中で区別することははなはだ困難なのである。
旧日本文化の特色は、道徳的、宗教的ではあったが、哲学的でも科学的でもなかった。西洋文明の移入は、恐らく芸術の分野において、最も相容れない二つの潮流を形づくる結果になった。音楽、美術、舞踊、そして文学、いずれも、そうである。
――岸田國士「現代日本の演劇」より
◎食べ物についてのひとりごと
なるべく食べ物は畑や農場や市場から買いたい。工場で作られた食品は口にいれたくない。たとえそれがただ冷凍してパッケージにしただけのものであっても。工場で作られたものではなく、人が育て、近所から運んできたものを食べたい。
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