◎今日のテキスト
三浦の大崩壊《おおくずれ》を、魔所だと云う。
葉山一帯の海岸を屏風《びょうぶ》で劃《くぎ》った、桜山の裾《すそ》が、見も馴《な》れぬ獣《けもの》のごとく、洋《わだつみ》へ躍込んだ、一方は長者園の浜で、逗子《ずし》から森戸、葉山をかけて、夏向き海水浴の時分《ころ》、人死《ひとじに》のあるのは、この辺ではここが多い。
一夏激《はげし》い暑さに、雲の峰も焼いた霰《あられ》のように小さく焦げて、ぱちぱちと音がして、火の粉になって覆《こぼ》れそうな日盛《ひざかり》に、これから湧《わ》いて出て人間になろうと思われる裸体《はだか》の男女が、入交《いりまじ》りに波に浮んでいると、赫《かっ》とただ金銀銅鉄、真白《まっしろ》に溶けた霄《おおぞら》の、どこに亀裂《ひび》が入ったか、破鐘《われがね》のようなる声して、
「泳ぐもの、帰れ。」と叫んだ。
――泉鏡花『草迷宮』より
◎自然治癒力(一)
人の身体には、なにかダメージを負っても自然に治癒する能力がそなわっている。切り傷を追っても、自然に傷がふさがって、もとどおりになってしまう。風邪をひいても、数日すれば治ってしまう。
治癒力を高めるのは、生命力を強めることにもなる。怪我や病気をしても回復が早いし、対ストレス性も強くなる。
では、どうすれば自然治癒力を高めることができるだろうか。
古代からさまざまに研究され、追求されてきた先人の技のなかにも、自然治癒力を高めるためのものがある。
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