2013年2月4日月曜日

2月4日


◎今日のテキスト

 蓮華寺《れんげじ》では下宿を兼ねた。瀬川丑松《うしまつ》が急に転宿《やどがえ》を思い立って、借りることにした部屋といふのは、其蔵裏《くり》つづきにある二階の角のところ。寺は信州下水内郡《しもみのちごほり》飯山町二十何ヶ寺の一つ、真宗に附属する古刹《こせつ》で、丁度其二階の窓に倚凭《よりかか》って眺めると、銀杏《いちょう》の大木を経《へだ》てて飯山の町の一部分も見える。さすが信州第一の仏教の地、古代を眼前《めのまえ》に見るような小都会、奇異な北国風の屋造《やづくり》、板葺の屋根、または冬期の雪除《ゆきよけ》として使用する特別の軒庇《のきびさし》から、ところどころに高く顕《あらわ》れた寺院と樹木の梢まで――すべて旧めかしい町の光景《ありさま》が香の烟《けぶり》の中に包まれて見える。ただ一際《ひときわ》目立って此窓から望まれるものと言えば、現に丑松が奉職して居る其小学校の白く塗つた建築物《たてもの》であった。
 ――島崎藤村『破戒』より

◎アレクサンダーテクニーク(三)

 アレクサンダーテクニークのもっとも重要なポイントは、無意識にやってしまっている頭を胴体に押しつける動作を、ただ「やめる」というところから出発する。頭が胴体に押しつけられているとき、いくつかの筋肉が収縮しているのだが、その収縮をただ「やめる」。
 すると押しつけられた頭は脊椎の上で自由になり、繊細にバランスを保つようになる。バスケットボールを人差し指の上でバランスを取るように、頭部を脊椎のてっぺんで繊細にバランスを取ると、身体の動きはおどろくほど軽やかになる。

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