2013年2月2日土曜日

2月2日


◎今日のテキスト

 蚤という昆虫は夏分になると至るところに居るが、安眠を妨害して、困りものである。
 生れ故郷の村にも蚤は沢山いたが、東京という大都会には蚤なんか居ないだろうと想像して、さて東京に来てみると、東京にも蚤が沢山いた。
 それは明治二十九年時分の話で、僕は浅草の三筋町に住んでいた。その家(浅草医院といった)の診察室に絨緞が敷いてあったが、その絨緞を一寸めくると、蚤の幼虫も沢山つかまえることが出来た。それから繭をつくって、蛹《さなぎ》になったのも居た。僕はそれ等をあつめ、重曹の明瓶などに飼っていたことがある。
 ――斎藤茂吉「蚤」より

◎アレクサンダーテクニーク(一)

 音読療法とは少し違うが、ちょっと隣接した分野のような感じがするものに「アレクサンダーテクニーク」というものがある。これは1869年生まれの俳優フレデリック・アレクサンダーが発見し、体系化した身体の使い方に関する基本的な技術で、非常にシンプルな原理でできている。その客観性と論理性が私はとても好きで、ずっと習っているのだが、気がついたらアレクサンダーテクニークに初めて接して以来もう足かけ七年もたっている。
 アレクサンダーテクニークでもっとも重要なのは、頭と脊椎の関係性だ。大脳を発達させたヒトが直立歩行をするようになって以来、これがもっとも重要なポイントになったことはうなずけるし、体感としても腑に落ちる。

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