2013年2月3日日曜日

2月3日


◎今日のテキスト

 海を見たことがないという山奥の子供でも汽車や自動車は見なれているという文化交通時代であるが、紀伊半島を一周する汽車線はいまだに完成していない。また、紀州の南端から大台ヶ原を通って吉野へ現れるには、どうしても数日テクる以外に手がないのである。吉野の入口から自動車にのると上の千本までしか登れない。奥の千本へ行くにもテクらなければダメなんだから、大峰山や大台ヶ原は今もって鏡花先生の高野聖時代さ。交通文明というものに完璧に見すてられている山また山の難路なのである。ところが昔の神々は目のつけ場所がちがう。ここが日本で一番早くひらけていた交通路の一ツなんだね。
 ――坂口安吾『安吾の新日本地理』「飛鳥の幻――吉野・大和の巻――」より

◎アレクサンダーテクニーク(二)

 人はさまざまな理由から、てっぺんに乗せている頭をついつい胴体(脊椎)のほうに押しつけてしまう動作をする癖を身につけていることが多い。その原因は、頭の重さやバランスだったり、あるいはストレスだったりする。
 人にかぎらず動物は物理的ストレス(つまり危険)を感じると、反射的に生命維持にもっとも重要な頭部を守ろうとして首をキュッとすくめる。危険反射なのだが、まったくおなじ動作が心理的ストレスでも起こる。結果的に頭を胴体に押しつける、という癖が身についてしまう。
 わざとやってみるとわかるが、頭を胴体に押しつけると、身体の動きが急に不自由になる。呼吸さえ窮屈になる。声を出しにくくなる。逆に押しつける動作をやめると、とたんにいろいろなところが自由になる。実際に試してみてほしい。

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