◎今日のテキスト
学校へいくとちゅうに、大きな池がありました。
一年生たちが、朝そこを通りかかりました。
池の中にはひよめが五六っぱ、黒くうかんでおりました。
それをみると一年生たちは、いつものように声をそろえて、
ひイよめ、
ひよめ、
だんごやアるに
くウぐウれッ、
とうたいました。
するとひよめは頭からぷくりと水のなかにもぐりました。だんごがもらえるのをよろこんでいるようにみえました。
——新美南吉「一年生たちとひよめ」より
◎対価とか等価交換とか(1)
朗読や音楽のライブをやるときに、出演者から聞く言葉で私がもっとも残念に感じるフレーズのひとつに、こういうものがある。
「チケットが2,000円だからそれに見合うだけの内容にしたい」
「こんなに下手なのに2,000円ももらえない」
この言葉の裏には「等価交換」という現代の経済システムの考え方が持ちこまれている。2,000円の金額に対しては、それに見合うだけの物やサービス・娯楽が提供されるべきだ、というものだ。私はこれを大変貧しい考え方だと思っている。
そもそも表現活動は経済活動なのだろうか。
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