◎今日のテキスト
海にいるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、
あれは、浪ばかり。
曇った北海の空の下、
浪はところどころ歯をむいて、
空を呪《のろ》っているのです。
いつはてるとも知れない呪。
海にいるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、
あれは、浪ばかり。
——中原中也『在りし日の歌』より「北の海」
◎指をぎゅっと握って読んでみると?
なにかを音読するとき、身体が緊張しているときとリラックスしているときとでは読み方が変わることはだれもがわかることだ。
では、部分的に身体を緊張させてみるとどうなるだろうか。
古武術の世界では「身体操法」といって、身体の一部の形を変えることで力の出し方を変えることがよくいわれている。朗読でもおなじで、たとえば片手の指をぎゅっと握って読むのと、開いて読むのとでは、読み方が変わる。実際にやってみて体感してみてほしい。
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