2012年2月21日火曜日

2月21日

◎今日のテキスト

猫の耳というものはまことに可笑《おか》しなものである。薄べったくて、冷たくて、竹の子の皮のように、表には絨毛《じゅうもう》が生えていて、裏はピカピカしている。硬いような、柔らかいような、なんともいえない一種特別の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやってみたくて堪《たま》らなかった。これは残酷な空想だろうか? 否。まったく猫の耳の持っている一種不可思議な示唆《しさ》力によるのである。私は、家へ来たある謹厳な客が、膝へあがって来た仔猫の耳を、話をしながら、しきりに抓《つね》っていた光景を忘れることができない。
――梶井基次郎「愛撫」より

◎音読の呼吸「ボトムブレス」

 音読や朗読の呼吸法としてもっとも重要であり、また副交感神経を活性化するために有効な呼吸法である。

 ホールブレスの「吐く」ほうだけを使う。
 みぞおちと臍の中間あたり、横隔膜の下のあたりを意識し、そこから息をゆっくりと吐きだしていく。
 全部吐いたら、「フッ、フッ」と最後まで絞りきるように吐ききる。
 力をゆるめ、姿勢を立てると、自然に肺に息が入ってくる。そのとき、意図的に吸う必要はない。横隔膜より上の、胸回りの筋肉はなるべく使わないようにする。
 自然に入ってきた空気を、ふたたびおなじ方法で吐ききっていく。これを数回くりかえす。五回くらいくりかえしてみよう。

2 件のコメント:

  1. 今日(2月22日)はゴロ合わせで
    「にゃんにゃんにゃん」の猫の日だそうです。
    読んだことがない文学作品にタイムリーなトピックで出会うことができました。

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  2. あ、そうでしたね。この作品は今日に掲載すればよかったですね(笑)。

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