◎今日のテキスト
智恵子は東京に空が無いという、
ほんとの空が見たいという。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言う。
阿多多羅山《あたたらやま》の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという。
あどけない空の話である。
——高村光太郎『智恵子抄』より「あどけない話」
◎自家製ヨーグルト
私はかなり前からヨーグルトを自分で作っている。いわゆるカスピ海ヨーグルトの種を人からもらったのがきっかけで、自分で作るようになった。
牛乳を買ってきて、ヨーグルトの種を混ぜて、容器を温度のよさそうな場所に置いて、しばらく放置する。
夏はあまり暑くなる場所だと、菌が死んでしまう。冬はあまり寒い場所だと菌が繁殖しない。
面倒なところもあるが、なんでも工場や他人が作ったものですませてしまえる時代にあって、あえて自分が手間をかけて自分のものを作るというパートを大切にすることは、どこかゆずれないところがあるように私は思っている。
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